ガスや石油を使用した設備一式を、電気のものに切り替えるIH化のリフォーム。安全で環境にも良く、省エネで安い深夜電力を活用し大幅な節約が期待できます。ガスコンロをIHクッキングヒーターへの交換し、併せて給湯機器を電気式のタイプに交換するケースが一般的です。
IH化リフォームのメリットとデメリット
IH化するうえでまず大切なことは、メリットとデメリットを理解することです。
自分の暮らし方に本当に合っているのか、しっかり検討しましょう。
<メリット>
●光熱費の削減
IH化に最適な料金メニューとして各電気会社が提供しているプランは、夜間の電気料金が非常に安く設定されています。
主に昼間は外出して、夜間に帰宅する生活を送っている人にはとてもお得です。
●火事になりにくく、環境にも良い
IH化された住宅で使用する「IHクッキングヒーター」は炎が出ないので、火による火傷や衣服への燃え移りがありません。
また、空気を汚染することが無く、二酸化炭素排出量を減らすことができるので、環境にもやさしいと言われています。
また、IH化された住宅では、一般の家庭よりも火災保険を安くすること可能です。
●震災の際も復旧が早い
地震などの災害時に、電気・ガス・水道の中でも電気の復旧が一番早いとされています。
また、災害時は給湯器で貯めた水やお湯を生活用水として利用できます。
エコキュートや電気温水器の中には貯水タンクがあり、その水を震災時の生活用水として使用することができます。(飲用水としては利用できません。)
●調理器具のお手入れ(掃除)が楽
ガスコンロより汚れにくくお手入れが楽です。
●住宅内に熱源を持たない
ガスのように住宅内に熱源を引き込まないため、ガス漏れや不完全燃焼での一酸化炭素中毒の心配がありません。
<デメリット>
●ライフスタイルによっては光熱費が増える
ガスの場合、時間帯や季節に関係なく、料金が一定(床暖房用プランであれば、冬期12月~4月は更に割引き)です。そのため、生活パターンによる損得は生じません。
しかし、IH化すると、昼間の電気代が高く設定されているため、ライフスタイルによってはガスよりも光熱費が増加します。
●初期費用がかかる
オール電化はガスコンロや給湯器よりも初期費用が割高です。(ただし、同時に支払うガス料金がなくなる事を踏まえると初期費用もかなり負担が軽減します。)また、専用回路コンセントが必要なので、ご自宅のブレーカー容量によっては電気工事が大掛かりになるケースもあります。
●火力が足りない
ガスに比べて火力不足になることがあります。また、対応できる調理器具が限定されます。
●停電に弱い
停電になると電気を使用できないので、何もできません。
●電磁波の身体への影響
オール電化機器は電磁波が出ています。必ず人に影響を与えるわけではありませんが、ペースメーカーを使用している人や妊娠中の人などは十分な注意が必要です。
●ガスに戻れない
一度IH化すると、ガスに戻すのは容易ではありません。
新築時からIH化だった場合、ガスの配管が引き込まれていないので大規模な工事が必要となります。
●貯湯タンク設置スペースの確保
敷地内に電気温水器(エコキューとなど)の設置スペースの確保が必要となります。
●衛生面の問題
IH化住宅の温水器はタンクに貯水するので、タンクに貯水されたお湯はそのまま飲用水にはできず、一度沸騰させなければなりません。(ガス給湯器の場合はその場で湯を沸かすためそのまま飲用できます。)
ビルトインガスコンロからIHクッキングヒーターへの交換
ビルトインガスコンロからIHクッキングヒーターへ交換する際、注意する点は電源の確保です。
現在の単体のビルトインガスコンロは乾電池で着火するため、コンロ用キャビネット内にはコンセントがないのが一般的です。そのため、新しくIHクッキングヒーター用のコンセントが必要になります。
※ただし、コンロの下にオーブンが付いている場合は、コンセントがあります。
また、最近の新築マンションでは、将来的にIHクッキングヒーターに交換しやすいように、ガスコンロキャビネットの後ろにIHクッキングヒーター用のコンセントを設置してあるケースも少なくありません。
IHクッキングヒーターには100Vと200Vのタイプがあり、ビルトインタイプのIHクッキングヒーターの場合は、200Vになります。電気工事費としては、200Vの方が若干コストが高くなります。
IHクッキングヒーター専用の200Vのコンセントを新設する場合は、屋内配線工事で新規に分電盤から引いてきます。
または、近くにあるコンセントを200Vに改良することも可能ですが、その配線はIHクッキングヒーター専用になるため、改良したコンセントと同じ配線上にある他の場所のコンセントとは使用できなくなります。ただし、こちらのほうが断然コストは安くなります。
コンセントの設置に関しては、しっかりと現状を把握したうえで、依頼する会社に相談して新設の方法を決めましょう。
なお、W=600のIHクッキングヒーターに交換した場合の一般的な工事費は、電気工事、ガス工事(既存のガスコンロの接続を外して、ガス管を止める工事)、ガスコンロ処分費を含めて、28~32万円ぐらいです。