構造によって、リフォームの自由度が変わる
マンションで一番気になるのが、構造の問題です。リフォームで間取りを変更したいと思っても、そのマンションの構造によってはできない場合があるからです。
マンションは、「ラーメン構造」と「壁式構造」の2種類が一般的な構造になります。ラーメン構造とは、接合された柱と梁で建物を支える構造で、室内のほとんどの間仕切り壁を取り外すことができ、リフォームの自由度が高いと言えます。(ただし、水まわりの配管は位置によっては移動できない場合もあります。)
これに対して、壁式構造は室内の壁自体が建物を支えているため、基本的に壁を取り外すことはできません。間取りの変更を希望している場合は、注意が必要です。
マンションのリフォームで、できること
マンションでリフォームできることは、実際にどのようなことでしょうか。
①水まわり(キッチン・浴室・トイレなど)
すこし前まで、「水まわりの移動は基本的にできない」といわれていましたが、技術力が向上した現在では、かなり自由に移動することができるようになりました。
水まわりの一番のポイントは、床下の配管をどこまで動かせるかどうかです。移動の際には、躯体のコンクリートと床の間に十分な空間が必要なため、もし床下が狭い場合は、床を上げて空間を広げるという方法あります。
②内装
床材や壁材、天井材の張り替え、室内ドアなどの建具の交換は自由にすることができます。
ただし、カーペットや畳からフローリングに変更する場合は、遮音性の問題があるので注意が必要です。最近では、天井材・板を外して、天井高をあげて、天井表しにすることもあります。
③電気関係
IHコンロを採用したり、オール電化住宅にすることができます。コンセントの数も増やすことができます。
その際、問題となるのが電気の量です。マンションは建物全体で電気の総容量が決まっているため、各住戸に配置される容量にも限界があるためです。
また、エアコンの増設や床暖房の新設に関しても、使用可能なエネルギーの容量は把握しておく必要があります。
マンションのリフォームで、できないこと
マンションの場合、共用部分は変更することができません。
例えば、窓のサッシは専有部分だと思われがちですが、共用部分とみなされ勝手に変更することができません。
サッシの枠はそのままで、ガラスだけ取り替えることはできますが、既存の窓が曇りガラスの場合は曇りガラスに、透明の場合は透明のガラスへの変更となります。
同じように、玄関ドアの外側は共用部分となるため交換することができません。(内側は専有部分なので塗り替えることならできます。)
また、排水管が上下に通されたパイプスペース(間取り図では、「PS」と表記されています)は、移動できません。パイプスペースが部屋の中央にくることも少なくありませんので、注意しましょう。
リフォームできるか、確認が必要になること
基本的に住居内の専有部分はリフォーム可能ですが、マンションによっては禁止事項が設定されている場合もあります。 リフォーム後に、知らなかったというわけにはいきませんので、しっかりと確認しておきましょう。
下記は、リフォームができない場合がある一例です。
①フローリングに張り替える
階下への音の問題や、トラブルを防ぐために管理規約で遮音性能を規定している場合があります。また、フローリングに張り替えることを禁止している場合もあります。
②換気扇の移設
汚れた空気を排気する排気ダクトは、移動距離が長くなると吸い込みが悪くなります。また、梁による移動の制約も考えられます。
③エアコンの増設
エアコンを増設するためのスリーブ(配管のための穴)があるか確認しましょう。通常、構造躯体に新たに穴をあける工事はできません。室外機が一台で室内気を複数設置できるマルチタイプのエアコンもあります。なお、電気容量にも注意しましょう。
④排水管の移動
排水管には勾配が必要ですが、移動距離が長いと水の流れが悪くなります。また、築年数が古いと階下の天井裏を通っていて、移動できないケースもあります。
⑤IHクッキングヒーターへの交換
消費電力が大きくなるため、現在の電気容量で使用可能か、また、電気容量が増やすことができるのか、管理組合や電力会社に確認しましょう。
⑥ガーデニング
専用に使用できる部分ですが、避難用通路として使えるよう配慮が必要です。また、サンルームなどは設置できません。
⑦バリアフリー工事
床の段差を解消する箇所に配管が通っている場合があります。